ちびくろさんぼが、とらに食べられないように買ってもらった服をとらにあげてしまいます。でも、最後にはとら同士でケンカを始めて、ぐるぐる追いかけ合ううちにとらが全員バターになってしまいます。
この不思議な結末には、読み聞かせをする大人のほうが、とまどいを感じてしまいます。
そのバターで最後に大量のホットケーキを焼いて、さんぼは、169枚も食べました、と終わります。
このお話が好きな4歳くんにどこが好きかを聞いてみると、とらがぐるぐるまわって、最後にホットケーキをたくさん食べるのがオモシロイと。
前後の流れやありそうな展開に枠を決めてしまっているとついていけない展開でも、発想が空のように制限のない子どもにはおもしろいと感じる。
さまざまな絵本を読み聞かせてきてわかるのは、1ページ単体でのおもしろさがある絵本が子どもは好きだということ。子どもは好きな絵本は繰り返し繰り返し読みます。そして同じところで笑います。予定調和が好き。
1899年初版という古い作品ですが、名作絵本は大人ではなく子どもに愛される絵本なんだろうなと気付かされた一冊でした。